スペインでの不動産所有は、快適な生活を楽しむためや投資利益を得るためだけでなく、財務的および税務的な義務を守る必要があります。この記事では、不動産所有者が考慮すべき年間税金および公共料金について説明します。
主な不動産税
1. 不動産税 (IBI)
IBI (Impuesto sobre Bienes Inmuebles) は、スペインの不動産所有者が支払う主要な税金です。この税金は地方自治体によって課せられ、物件の登記価値を基に計算されます。
- 税率: 登記価値の0.4%〜1.1%
- 差異: 税額は地域、不動産のカテゴリ、および立地(都市部か地方か)によって異なります。
計算例: 物件の登記価値が100,000ユーロの場合、IBI税は年間400〜1,100ユーロとなります。
2. 賃貸収入税(不動産を貸している場合)
不動産を貸し出している場合、その収入には税金がかかります:
- EU/EEA居住者の場合: 収益の19%が課税されます。
- EU外の非居住者の場合: 収益の24%が課税され、経費を差し引くことはできません。
例: 年間賃貸収入が10,000ユーロの場合:
- EU居住者の場合、税金は1,900ユーロ(19%)
- EU外の非居住者の場合、税金は2,400ユーロ(24%)
3. 富裕税(Impuesto sobre el Patrimonio)
この税金は、物件の価値が特定の閾値を超える場合にのみ適用され、その閾値は地域によって異なります。
- ほとんどの地域では、物件の価値が700,000ユーロ(住宅ローン負債を除く)を超える場合に課税されます。
- 税率は0.2%〜2.5%の範囲です。
アドバイス: 高額な不動産を所有している場合は、地域の閾値と税率を確認してください。
4. 資産増加税(Plusvalía Municipal)
この税金は、不動産を売却する際に適用され、所有期間中の登記価値の増加に基づいて計算されます。
公共料金
1. 共用施設の管理費(管理組合費)
アパートや住宅団地内の不動産を所有している場合、管理組合(comunidad de propietarios)への支払いが必要です。
含まれる内容:
- 共用エリアの清掃および照明。
- エレベーター、プール、庭園の維持管理。
- 警備サービスの費用(ある場合)。
平均費用: 月額50〜300ユーロ(インフラのレベルによって異なります)。
2. 電気代
スペインの電気料金は高額で、特に冬の季節には電気暖房を使用している場合、料金が高くなります。
平均費用: 月額50〜150ユーロ、物件の面積と消費量により異なります。
3. 水道料金
水道料金は、月次または四半期ごとに支払われます。
平均費用: 月額20〜50ユーロ。
4. ガス料金
物件がガス供給ネットワークに接続されている場合、ガスによる暖房と温水の供給が電気よりも経済的である場合があります。
平均費用: 月額30〜60ユーロ。
5. インターネットと電話
快適な生活のために、多くの不動産所有者がインターネットと携帯電話サービスを契約しています。
平均費用: 月額30〜50ユーロ。
6. 別荘や一戸建て住宅の維持費
別荘や一戸建て住宅を所有している場合、追加の支出が発生することがあります:
- 庭の手入れ。
- プールのメンテナンス。
- 建物の修理と維持管理。
平均費用: 月額100〜500ユーロ、敷地面積やサービス内容によります。
年間支出の計算例
バレンシアの登記価値100,000ユーロで基本的な公共料金を含むアパートの場合:
支出タイプ | 金額(ユーロ) |
---|---|
不動産税 (IBI) | 600 |
管理組合費 | 1,200 |
電気代 | 1,200 |
水道料金 | 240 |
ガス料金 | 360 |
インターネット | 360 |
年間総支出 | 3,960 |
役立つアドバイス
- 購入前に登記価値を確認: 税金は登記価値に基づいて計算されますが、これが市場価格よりも低いことがあります。
- 管理組合の規則を確認: 一部の住宅団地では、物件の賃貸に制限がある場合があります。
- 予期しない支出に備えて予算を組む: 修理、メンテナンス、設備の交換などには追加の費用がかかることがあります。
- 領収書を保存: 支払った税金や公共料金は、税務申告時に必要となることがあります。
結論
スペインで不動産を所有することは、定期的な税金と公共料金がかかることを意味しますが、これらの費用を予算に組み込むことが重要です。すべての費用を理解することで、予期しない問題を避け、安心して不動産を楽しむことができます。